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北欧絵本とハンドメイド

北欧の本や作家、イラトレーター、身近なアンティークやハンドメイドのことなど、個人的なエピソードと共にご紹介。 その他ジャンルや国を問わず、お気に入りの書物や映画なども。
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沼の王の娘(アンデルセン童話集より)

昨年2005年は、アンデルセン生誕200周年で、デンマークのテレビでは、アンデルセンの人生をもとにしたドラマや、ドキュメンタリーなどが製作、放映されていました。 彼は相当な変人で、奔放で、でも神経質で、想像力に溢れた人だったよう。 そんなアンデルセン像を見ているうちに、「完訳」のアンデルセン童話が読みたくなり、妹に頼んで日本語版を購入し、持ってきてもらいました。

アンデルセン童話集 4 改版―完訳 (4) / ハンス・クリスチャン・アンデルセンに、「沼の王の娘」という、けっこう長めのお話があります。 エジプトの姫が病気の父親のため、秘薬の花を探しにデンマークに来たところ、沼に沈み、沼の中から赤ちゃんが現れる。 コウノトリがその赤ちゃんをヴァイキングの奥さんに与え、赤ん坊は美しい娘に成長するものの、夜は醜いヒキガエルの姿に。 しかし美しい娘でいる間は凶暴な性格で、醜いカエルのときは、やさしい心の持ち主。 彼女はエジプトの姫と沼の王の間に生まれた、それゆえ二面性を持つ、娘だったのです。 

いろいろなことが起こり、最後に、その娘はエジプトの姫である母親と再会し、魔法は解け、二人でエジプトの王のもとに戻ります。

それでメデタシ、終わりかなぁと思ったら、お話はまだ少し続き、娘の結婚式のシーンになり、これでハッピーエンドかなぁ、と思ったら・・・ 突然キリスト教の坊さんが天から現れ、娘は天国が見たいと、ほんのちょっとだけ天に上がります。

そして地上に戻った娘が見たものは・・・廃墟。 なんと娘が3分だけ天にいた間に、地上では百年の月日が経っていたのです。 娘の体は塵にかえり、魂は天に昇っていきました。

へっ!? 私は、この結末のために、この長い話を読んできたの? なんだか狐につままれたような、なんだか浦島太郎と人魚姫がくっついたようなお話に、絶句。 さすがアンデルセン、侮れない。

こちらは昨年、コペンハーゲンで購入したアンデルセンのカードです。 アンデルセンはきり絵が得意で、千点以上にものぼる作品が、現在も保管されているそう。 オリジナルを元に再現したモビールとのセット。

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しかし、この切り絵は、なんでしょう。 人間風車らしいのですが、右上の手に注目。 スカートをはいた人間が吊るされている!? だとしたら、ちょっと残酷、コワイよ〜。

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アンデルセンが住んでいた部屋

コペンハーゲンの中心部 Kongens Nytorv にある大手デパート、Magasinは歴史の古い建物。 驚くことに、このデパートの屋根裏に、アンデルセンが住んでいた部屋が、ほぼそのままの形で残っています。 2005年アンデルセン生誕200年のとき、アンデルセンに関する展示物と共に、部屋が無料で公開されていました。

今でも、あの部屋は公開されているかしら?と、先日コペンハーゲンを訪れたとき行ってみると・・・ 展示会場は様変わりし、Magasinクラブ会員専用のラウンジとやらになっています。 でも店員さん一人のほか利用している人はいず、そのまま奥に入っていっても、何も言われず。 観光客だからOKだったのかな?

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アンデルセンの部屋だけは、そのままの状態で残っていました! 本当に、人がふたり立つのが精一杯といった、小さな小さな部屋。 アンデルセンは1827〜28年の約1年間、ここに住んでいたそう。 部屋の中に置かれている家具類は、実際アンデルセンが使用したものではありませんが、当時の品を取り揃えたとのこと。

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なんだか時間が止まったかのようです。

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出窓の両側にも、窓が付いています。 左側を見ると、昔からの古い家が。

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右側からは、デパートの一部が見えました。

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不思議ですねぇ、都会の真ん中にある大型デパートの中に、200年以上も前の部屋が、そのまま存在しているなんて。 デンマーク人は、古いものを尊ぶからでしょうか。 

アンデルセンの家はマガジンデパート (Magasin du Nord) の3階、もしくは4階にあります。 Magasin Lounge という場所を探してください。 買い物ついでに、ぜひ寄っていただきたい穴場です。 

余談ですが、私はコペンハーゲンに行くたび、このデパートの地下トイレを利用します。 広いし、無料なので、お薦め!



カレン・ブリクセン Karen Blixen

カレン・ブリクセン博物館に行きたい!と、強く思ったのは、歯医者の待合室で手に取ったスウェーデンの女性向け雑誌に載っていた、デンマークのシェラン島にある「カレン・ブリクセン博物館」の特集記事を目にしたとき。

すぐ行ける距離に、デンマークの国民的女流作家、カレン・ブリクセンの博物館があるのは知っていたし、なんとなく気になっていたものの、結局私を強く揺り動かしたのは、雑誌の中にあった、彼女の生家であり今は博物館となっている古いお屋敷の写真、素敵なお庭とインテリア。 さすが女性誌、女性の心の掴み方が上手い。

その前に、今年の初めに日本へ里帰りしたとき、新聞の書評で『バベットの晩餐会 (ちくま文庫)』に関する記事を読み、著者のイサク・ディーネセンが、実はカレン・ブリクセンの別名だと知り驚いた。 『バベットの晩餐会』といえば、1987年にアカデミー賞外国語部門を受賞し、評判の高かったデンマーク映画ではありませんか。

そのとき、この小説を読みたいと思い、そのままになっていました。 映画も観ていないのですが、日本語版はDVD化されてないらしい。

「カレン・ブリクセン博物館に行きたい!」と夫に言うと、「僕も行ったことないし、彼女の作品で読んだのは "Out of Africa (Penguin Modern Classics)" だけだよ。 とってもエキセントリックでドラマチックな人生を送った作家なんだよね」。

そこで初めて気づいたのですが、メリル・ストリープとロバートレッド・フォード主演、シドニー・ポラック監督のアメリカ映画、『愛と悲しみの果て Out of Africa』(1985年度作品、アカデミー賞の作品賞及びゴールデングローブ賞受賞)は、カレン・ブリクセンの映画だったんだ! (これは見たし、DVDもたくさん出てます。)

愛と哀しみの果て愛と哀しみの果て
(2004/09/29)
メリル・ストリープロバート・レッドフォード

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カレン・ブリクセン (Karen Blixen) は20世紀のデンマークを代表する国民的文豪。 1885年生まれ。 結婚後アフリカのケニアに移住しコーヒー農園を経営。 結婚と事業が破綻し、17年間暮らしたアフリカから、デンマークにある生家(現在は博物館)に戻り、1962年に亡くなります。

彼女の作家デビューは、Isak Dinesen (日本語表記では アイザック・ディーネセン、あるいはイサク・ディーネセン)という男性名で執筆し、アメリカで1934年に出版された『七つのゴシック物語』。 アメリカでの彼女の人気や知名度は高いようです。

Seven Gothic Tales (Penguin Twentieth Century Classics)Seven Gothic Tales (Penguin Twentieth Century Classics)
(1993/09)
Isak Dinesen

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彼女は英語とデンマーク語の両方で執筆し、Isak Dinesen と本名の Karen Blixen を使い分け、作風もそのつど変わるような、複雑な面を持っているとか。 

これから、博物館に行く前に、彼女の作品を読み込んでいきたいと思います。

追記:
もうちょっとカレンブリクセンについて「カレン・ブリクセンの肖像
博物館に行きました→「カレン・ブリクセン博物館


Seven Gothic Tales by Isak Dinesen

デンマークの女流作家、カレン・ブリクセン (Karen Blixen) の初出版作品、『七つのゴシック物語』。

タイトルどおり、7つの幻想的な物語が収められています。 この作品を、カーレン・ブリクセンが、デンマーク、イギリス、アメリカの出版社に送ったら、デンマークとイギリスからは「ファンタジー色が強すぎる」と却下され、アメリカからは好意的な返事を受け、1934年にアメリカから出版されました。

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図書館で、英語版の ”Seven Gothic Tales” を探したところ、なんと出てきたのは1934年のアメリカ版!

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古い印刷のぬくもりが、なんとも厳かで幸せな気持ちにしてくれます。

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物語の舞台は、主に1800年代のヨーロッパ。 デンマークだったり、イタリアだったり、フランスだったり・・・ 英語で書かれていながら、突然フランス語での会話が始まり、戸惑うことも。 登場人物の多くは貴族で、上流階級の生活様式にのっとり、夢だか現実だか分からぬまま、そこはかとないユーモアにも溢れた、彼女の巧みな話術に引き込まれていきます。 ふと、ガルシア・マルケスなどラテンアメリカ作家の「魔術的リアリズム(マジック・リアリズム)を思いました。 心の奥にある、別の感覚を突かれるような感じ。 心がじんわり暖かくなる展開もあれば、冷たい指先で頬を撫でられるような、ひんやりした展開も。 

”Seven Gothic Tales” の日本語訳は、

夢みる人びと―七つのゴシック物語 1 (ディネーセン・コレクション 2)

夢みる人びと―七つのゴシック物語1 (1981年) (ディネーセン・コレクション〈2〉)

ピサへの道―七つのゴシック物語 2 (ディネーセン・コレクション 3)

ピサへの道―七つのゴシック物語2 (1982年) (ディネーセン・コレクション〈3〉)

ところで、彼女はデンマーク語と英語で執筆活動を行っていましたが、デンマーク語版では Karen Blixen (本名から)、英語版では Isak Dinesen という男性名のペンネームを使っていました。 (Dinesen は彼女の結婚前の旧姓。) ところが日本語では、この Isak Dinesen の発音表記が アイザック・ディネーセンであったり、イサク・ディーネセンとあったり。 そして、もちろん、カレン・ブリクセンという名義でも日本語訳が出版されているので、彼女の日本語の出版物を探すのが、分かりづらかった・・・


カレン・ブリクセンの肖像

ひょんなきっかけでカレン・ブリクセンというデンマーク人作家に興味を持ち出したら、向こうからちょこちょこ情報が飛び込んで来て、驚くことしきり。

きっかけの数日後、夫の友人のお父様から電話があり(息子さんが海外を飛び回る生活をしているので、寂しくなるとうちの夫に話し相手を求む)、「カーレン・ブリクセンの映画『バベットの晩餐会』のDVDが欲しいんだけど、見つけるの手伝ってくれない?」

えっ、いきなり相手の口からカレン・ブリクセンが飛び出すなんて、不思議というか不気味というか。 マメ鉄砲くらった気持ちで、つい最近カレン・ブリクセンについて話していたんですよ〜と言うと、相手からは「私の母とカレン・ブリクセンは友達だったんだよ」という発言が。

ちょっとお年を召したこのお父様、正真正銘の貴族であります。 そしてカレン・ブリクセンはスウェーデンに住む貴族 Bror von Blixen-Finecke と結婚しました。 私らのような平民には分かりませんが、貴族や有名な資産家って、皆繋がりがあったり顔見知りだったりするのね。

(ところで、カレン・ブリクセンに梅毒を移し、後に離婚するこの不誠実な夫 Bror Blixen。 とんでもない悪い奴なんだと思っていたら、ノーベル賞作家であるヘミングウェイと親交が深く、ヘミングウェイはBror Blixen を尊敬し英雄視し、作品の中にも登場させているという人物。)

こちらは、現在のデンマーク50kr紙幣。 カレン・ブリクセンの肖像が使われています。 (デンマークのコインにはハートが刻まれていたり、日本の硬貨と同じく穴が開いたりして可愛い。)

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さて、その週末、泊まりに行った夫の実家で、義父がかちゃかちゃテレビのチャンネルまわしていると、画面に現れたのは、またもカレン・ブリクセン!

デンマークのチャンネルで、カレン・ブリクセンの特集番組を放映していたのですがが、うちは現在テレビのない生活をしているので、ここに来なければ見られなかった。 テレビ欄には『偉大なデンマーク人』というタイトルしかなかったので、本当に偶然目にすることができた番組。

この番組では、カレン・ブリクセンの生涯を追っていました。 裕福な家庭に生まれ、軍人であり作家であった父親から創作に関する大きな影響を受け、コペンハーゲンとパリで絵画を学び、結婚しアフリカに渡ったものの、夫からは梅毒を移され一生苦しむことに。 これは、当時受けた治療が良くなかった為らしい。 離婚したもののアフリカの地に残り、コーヒー農園を経営しますが、このとき彼女が唯一なんでも話すことができた親友(であり恋人)が、映画『愛と悲しみの果て』でロバート・レッドフォードが扮したデニス。 イギリス出身の偉大なハンターですが、その彼も飛行機事故で他界します。

アフリカで農園の経営に行き詰っていていたカーレンを、彼女の母親は「もう充分でしょ。 帰ってきなさい」とデンマークへ引き戻し、カレン・ブリクセンは生家で執筆活動を始めます。 この生家は現在、博物館になっていて、最近訪れました。 (訪問記はこちら「カレン・ブリクセン博物館」←アップしました)。

デビュー作『七つのゴシック物語』はアメリカで最初に出版され、アメリカでの知名度や人気は高いものでしたが、デンマークではそれほどでもなく、自国で揺るぎない偉大な作家としての地位を得たのは晩年の晩年だったそう。 彼女にかしずく崇拝者たちには奔放な態度を取り、使用人やその子供達とは親しく家族同様の付き合いをしたという逸話が、また彼女の一面を物語っているよう。 健康を害しているもののラジオやテレビ出演をし、彼女が自作を朗読する映像など残されています。

カーレン・ブリクセンの映像を見ていると、現デンマーク君主である女王マーグレーテ二世と、その姿が重なりますが(話し方なども似ているのです)、自分が何者であるか知っている女性の強さ、偉大さ、優雅さゆえでしょうか。

最近、スウェーデンアカデミーが1958年度のノーベル文学賞候補だった作家の名前を明らかにしましたが、そのリストに載っていた作家の一人は、Karen Blixen。 (この年、『バベットの晩餐会』が収録されている ”Anecdotes of Destiny” を発表しています。 受賞したのは『ドクトル・ジバコ』のボリス・パステルナークでした。) カレン・ブリクセンを知れば知るほど、なぜ彼女にノベール文学賞が与えられなかったのか腑に落ちない思いでしたが、「やっぱりね」。 そう、彼女が言って来たようなタイミングに、またもや不思議な気分になるのでした。


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「Kanel」 とはスウェーデン語で、「シナモン」のこと。 写真はスウェーデン名物、Kanelsnäcka(シナモンロール)と、私の大好きなスウェーデンの絵本、Findusです。


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