北欧絵本、子供と一緒に世界中の本を読もう

海外で読書を通じての日本語育児中。 また北欧の本を中心に、その他ジャンルや国を問わずお気に入りのことなどを個人的なエピソードと共にご紹介。
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Jenny Nyström と トムテ

スウェーデンのクリスマス、どこにもトムテ、tomte、とむて。 赤い帽子を被った小人が、あちこちに飾られます。 トムテのオーナメントは、クリスマスの人気アイテムで、手作り品も多いです。

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クリスマスのトムテ (Jultomten) は、今日スウェーデンにおいて、サンタクロースと同義語で使われていますが、実は、このスウェーデン特有のクリスマストムテの原型を作ったのは、Jenny Nyström (1854―1946) という一人のイラストレーターであり、そう遠い昔のことではありません。

トムテ (tomte) とは、スウェーデンの民間伝説の小さな妖精。 農家の納屋に住み、人々が夜寝ている間、家畜を守ってくれます。 動物と話すことができ、時には人間にいたずらすることも。 特にクリスマスの妖精ではありませんでした。

1881年、Viktor Rydberg が ”Tomten” を発表します。 (スウェーデン人なら誰もが冒頭部分を諳んじることができるトムテを題材にした詩。 絵本も出ていますし、クリスマスにはこの朗読がテレビで流れます。) そのとき、イラストを描いたのが Jenny Nyström。 彼女は新聞の挿絵や広告のポスターなどを数多く手がけたイラストレーター。 まだ写真が一般的でなかった時代です。

このときのトムテは、Viktor Rydberg がイメージした、醜い小人を描いたそう。 しかし、それから20年後、Jenny Nyström は、彼女独自のクリスマストムテを創作していきます。

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これらのイラストは、”Ett år i Jenny Nyströms Sverige” (av Ralph Herrmanns, Lindfors, 1983) より。

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スウェーデンには、プレゼントを持ってくるサンタクロースの存在はいませんでしたが、トムテがサンタのイメージと重なったよう。 Jenny Nyström は自分の父親や絵の教師をクリスマストムテのモデルとしたそう。

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こうして、Jenny Nyström の Jultomten クリスマスのトムテは、スウェーデン中に広まり、親しまれ、クリスマスに欠かせない存在となりました。 だから、クリスマスにトムテって、それほど古い伝統ではないのです。

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トムテ Tomten by Viktor Rydberg

Midvinternattens köld är hård,
sjärnorna gnistra och glimma.
Alla sova i enslig gård
djupt under midnattstimma.
Månen vandrar sin tysta ban,
snön lyser vit på fur och gran,
snön lyser vit på taken.
Endast tomten är vaken.

Ur ”Tomten” av Viktor Rydberg

トムテ トムテ
ヴィクトール・リードベリ (1979/11)
偕成社
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トムテとは、北欧に大昔から住む小さな妖精。 森や家畜小屋に住み、人間に悪さをすれば、手助けなどの良いこともし、動物と話せます。 スウェーデンでは、今日、サンタクロースのことを、トムテと呼んでいます。

星が瞬く、凍えるような真冬の夜、全てが眠るなか、起きているのはトムテただ一人。 トムテは、外を歩き、家畜小屋に行き、人間の家の中に入ります。 眠る親子を見、この子供たちは何処から来て、年老いたものたちは何処に行くのだろうと、毎年新しく生まれる生命と、消えゆく生命の不思議に思いを馳せるトムテ。

『トムテ』は、19世紀末のスウェーデン人作家、Viktor Rydberg により書かれました。 Viktor Rydberg は、叙情詩家であり、宗教に関する書物を多く執筆しましたが、『トムテ』は、宗教の枠を超えた普遍性があります。 それゆえ、幾世代にも渡り、スウェーデン人に愛され、読み継がれてきました。 静かで落ち着いた文体で、トムテの目を通し、自然と生死の神秘性を、リリカルに歌い上げます。 冒頭に挙げた、最初のページを、空で諳んじるスウェーデン人も多いです。 もともと詩は、声を出して読むものだからでしょう。

クリスマスが近づく今の時期、ロウソクの火を灯した部屋で、『トムテ』を朗読。 日本語訳も出ているので、一読してみるのは、いかがでしょうか?


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